038 わけわからなくて怖い

世の中妖怪ブームだという話がありますが、一方、もう「ろくろ首」とか「足長手長」とか「さとり」みたいな伝統オバケなんて若い世代は知らないし興味もないのだ、という話もあります。

まあ、きっとどっちも本当なんでしょう。

しかし、私がちょっとひっかかってるのは、「わけわからなくて怖い」ものが、多分確実に減ってるだろうな、という感触です。

真っ暗な夜道なんて、もう日本のどこにもありません。真っ暗でなければ、出るのは、せいぜい痴漢とかひったくりです。200メートル先まで行けばコンビニがあるな、って判ってれば、それだってあんまり怖くない。痴漢やひったくりを放置しておいていいわけじゃないのですけど、正体がわかってるものの怖さと、正体がわからないものの怖さは、質が違うな、と思うわけです。

正体がわからないものの恐怖は、自分の内側からわきだしてくる。それは、逮捕も退治もできない、根源的なものなのです。

そういうのが「ある」ってことを、スコンと忘れちゃってるんじゃないのか、それでいいんだろうか? って、そこんところが気になります。

また。

2007年3月


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