035 ユニコーンを飼いならす

ユニコーンってのは、麒麟と同じものなんだろうな、とかねて考えています。形も似てますし、性質もちょっと似ている。

両者の決定的な違いは、ユニコーンは(聖母マリア的な)清らかな乙女に飼いならされることがあり、たびたび馬のように背に誰かを乗せて天を翔けたりたりするイメージがあるけれど、麒麟はまったく家畜化されない、ということです。だって、我々の麒麟は、龍と一緒で、近寄りがたくて気高い瑞獣なんですからね。

こういうのって、きっと世界観の違いなんです。狩猟と牧畜が重要なヨーロッパと、農耕が主な東アジア。四本足の動物の形を思い浮かべたとき、自動的に飼いならす方向へ発想が行くのは、そういう暮らしをしているからでしょうね。

龍も、同じです。ヨーロッパでは、悪いドラゴンが勇者の剣に敗れたり、良いドラゴンが子供を背中に乗せたりしている。どうも、珍しい大型獣以上のものとは思えない扱いです。一方、我々の龍は、この世の善悪なんて超越しちゃってる、パワフルな存在です。よほど切羽詰った状況でない限り、龍と戦おうなどと思うこと自体、恐れ多い。人間と自然のかかわりかたが違うのが、こういうところに反映してるんだと思います。

神話、民話、伝説、怪談。こういう昔の不思議系の話は、その時代、その土地の人々の考え方がよく出ていて、ゆっくり読むと、どんな切れ端でも、とても味わい深いものです。

私はアメリカに住むようになってから、日本の昔の話を、とても丁寧に読むようになりました。そういうところで不足しがちな「日本」を補ってるんだろうなあ、って思います。

2007年2月


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