021 オバケのにおい

テレビや本でオバケや妖怪を見ると、形態のおもしろさばかりに注意が行きます。でも、妖怪っていうのは、見た目だけの存在じゃないはずです。五感全部が驚くような、遭遇したらその瞬間、毛穴全部がぞわわわ、って動くような、そういう異質さを感じなきゃ、オバケじゃない。

たとえば、においはどうでしょう。ゲゲゲのネズミ男、くさいんです。不潔だからです。ときどきお話のなかにそういう指摘があります。

人間だって、一週間も洗わなかったら、だいぶくさくなります。普段はせいぜい汗臭くなる程度でしょうが、しばらく放っておくと、とんでもないことになります。鼻が曲がるような、という表現がありますが、そういう風にしか説明できない、いやーな臭気。極端になると、半径2メートル以内に入るとムワッっとするような異臭を発するのです。

ネズミ男は半径2メートルムワッのクチです。

あちらこちらで小ざかしい儲け話をする気力はいくらでもあるくせに、ずぼらで身体を洗うという考えがない。温泉につかってるシーンはあるかもしれませんが、ゴシゴシ身体洗ってる図は想像できない。洗濯もしない。昭和40年代から同じ格好。

ネズミ男とのんびり立ち話をするときには、絶対消臭スプレーで武装が必要です。

さてさてそれで考えてみると、お湯につかってる図がまったく想像できない化け物、たくさんいます。お風呂に入ったあとでもまだくさそうな奴もいます。「妖怪大戦争」のモブシーンって、本物の妖怪を集めて撮影したら、だいぶにおうかもしれません。

仲間が多少くさくても許しちゃうのが妖怪の世界、なのかもしれません。それはそれでいいかも、と思えます。

考えていたら面白くなったので、書き出してみました。

2006年9月


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