014 舌切り雀

昔話の「舌切り雀」。つづらからオバケがびよーんと出る光景が大好きなので、普段はつづらにばかり注意がいくのですけれど、今日はスズメに注目。特に、スズメの態度。

怪我をしているところを親切なおじいさんに可愛がられる。しかし、洗濯のりを食べてしまう。このスズメ、恩知らずです。

おばあさんに舌を切られたことについては不問に付して、おじいさんを歓待する。そこは、いいでしょう。しかし、そこでつづらを二種類出して、おじいさんを試すようなことをする。あるいは、これは、小さい方を選ぶおじいさんの性質を知り抜いているスズメが、おばあさんをおびき寄せるためのワナだと考えることもできる。なんか、このスズメ、根性悪いんじゃないでしょうかね?

だから、意地悪と欲深は、おばあさんじゃなくて、スズメのほうです。おばあさんは、自分の気持ちに正直なだけです。若くてかわいらしい娘に心を奪われている夫を見て、不快に思わない女がいるでしょうか? 大きいつづらにあふれるほど入った宝物を想像して、心が躍らない人がいるでしょうか?

そう考えると、舌切り雀は、おばあさんの強欲な行動をいさめる話ではなくて、かわいらしい外見でも性根の曲がってる奴がいるので、ごまかされないよう注意するべし、という警告である、という読み方ができます。あるいは、女心がまったくわからない男の人については、周囲でいろいろ気をもんでも意味がないのである、という教訓だとも思えます。だって、この物語、おばあさんとスズメの戦いとして進行していて、おじいさんは、そこに存在してるだけですもん。

まあともかく、登場人物の行動だけをとってみると、世間によくある話です。おばあさんの名誉のためにも、これは単なる不倫の三角関係である、としっかり認識したいものです。

すると、唯一非凡なシーンである、「オバケびよーん」にだけ興味を持ってる私の趣味嗜好は正しい、そういうことになりますかね。ふふふ。

2006年7月

(夏なのにスズメがふっくらしすぎてるって?
すいません。そのほうが可愛いもんで、早春の絵です。)


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